看護師さんきょとん!
前回の話はこちら
点滴や尿管がついている婆ちゃんを隣のユニットバスの洋式トイレに初めて行かせました。
看護師さんは、点滴もしているし、オムツの中で排泄して当然と思っている感じで…
オムツの中じゃ出なかったうんちも便座に座らせると、あっさり出ました。
点滴をちょっと振り回してしまって、管の中が逆血しているところに、看護師さんが戻ってきました。
トイレを終えてベッドサイドに座る婆ちゃん!
『今、ここのトイレに連れて行って、うんちが出ました』
私がそう言うと、看護師さんはきょとんとして、
『あっそうですか?』
看護師さんにも、ちゃんとトイレに連れてってもらいたいと言いたかったけど、
それは言えませんでした。
この程度の逆血大丈夫だろうとは思いましたが、確認して大丈夫とのことでした。
『どんな便がどれくらい出ましたか』と言われ、
その看護師らしい質問になんだか、カチンときました!
『うんこの性状より、婆ちゃんが廃人になりかかってることをなんとかするほうが大事じゃないですか?』
そう言いたい、気持ちを押し殺しました。
看護師って、便の性状とか尿の量とかは、みてるんだけど、婆ちゃんが廃人になりかかってるとはきづかないんです。
なぜかって?元元廃人だと思っているから…
婆ちゃんが要介護度4だから、初めから寝たきりで歩けないと思っていたらしいのです。
認知症があっても、歩ける人が要介護4になることは、確かにあまりないかもしれませんが…
元認定調査員の私とすご腕ケアマネさん、親切な認知症専門医の努力でそうなっているんです。(介護度をきちんとだすテクニックを知りたい方はこちら)
家族が一丸となって
理学療法士の夫にも、仕事帰りに病院に寄ってもらうよう頼んでいて、私が婆ちゃんをトイレに私が行かせている間に、夫が個室に入ってきました。
『思ったより、元気そうじゃない』と夫!
母と茂兄さんに婆ちゃんを刺激するよう私が前の日から頼んでいて、頑張ってくれたからか、婆ちゃんは廃人のような感じではなくなってきていました。
現に、トイレットペーパーをちびちび使おうとするばあちゃんに、
『もう部屋代16000円も払ってるのに、そんなちびちびトイレットペーパー使わんでいい。』と言うと、
『そんなこと言いな』と怒れました。
言い返せるなんて、活気が出てきた~!
怒られても、とっても嬉しかった。
脱け殻みたいな婆ちゃんに魂が戻ってきた感じなんです。
本当に前日は、まさに脱け殻のようだったんですよ。
もちろん、私も昔は看護師をしていたことがあるので、寝たきりで『はい』という返事しかきなくなっているような人はたくさん見てきてはいるんですが、寝たきりに移行する瀬戸際みたいなところは、あまり見ていない気がします。
婆ちゃんはここに入院するまでは、認知症にはなってしまっているけれど、会話はできるし、トイレも自分で行ける!
そんな状態から、急に埴輪みたいになっちゃって、生気のない『はい』しか言えないなんて、悲しすぎる…
『理学療法士なんやから、なんとかして』
と夫にも詰め寄るような感じでした‼️
病院のリハビリなんて、ほんのちょっとだし…
なんかもう、ちょっとでも刺激しないと…婆ちゃんが手遅れになってしまう…
気ばかり焦っていました。
夫にリハビリをやってもらおうかと思いましたが、夕飯も来ちゃったので…
茂兄さんにも『今日はもう遅いから帰り』と言われ、
『焦ってもしょうがない』と夫!
『昨日より大分良くなってきてるしね』と私もお腹もすいていたし、あきらめました!
その晩も、その次の晩も茂兄さんが泊まって、何度もトイレも連れていってくれたんですよ。
もうひとつの対策
メマリーという認知症の薬を飲んでいたんですが、その薬はどちらかというと、徘徊したり、元気すぎる認知症高齢者をおとなしくさせる薬なんですね。
婆ちゃんが、入院して勝手にどんどん階段降りていったりするときは、これでいいんだけど、
うつっぽいのに、さらに、おとなしくさせる薬を飲んでいたら、まずいのではないか?
そう思った私は、メマリーをこっそり薬から抜くことに決めました!
メマリーって、ちゃんと錠剤にカタカナで書かれていて、わかりやすいんですよ。
本来は認知症専門医と連携して、薬の調整をしないといけないところですが、
トイレも連れてってくれないのに、そんな高尚な連携を期待できるはずもない…
『今、かなり元気ないから大丈夫やと思うけど、薬ぬいたせいで、夜中出ていこうとするようなことも、もしかしたら、あるかもしれんから、ちょっと注意しといて』
そう茂兄さんに言い残して、その場を去りました!
婆ちゃんは、いったいどうなっちゃうのでしょうか?